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メコンの地でつなぐ笑顔と、これからの支援のあり方

ラオスでの活動風景

当クラブでは、持続可能な国際社会の実現と現地の人々の生活向上を目指し、国際奉仕活動を行っています。このたび、2月20日から25日にかけての6日間、ラオス人民民主共和国への国際奉仕活動(以下、「ラオスミッション」)を実施いたしました。

本レポートでは、今回の現地視察および支援活動の全容と、参加したメンバーによる多角的な視点や考察、そして今後の活動に向けた提言をまとめました。一過性の支援にとどまらず、現地の人々の未来に寄り添う奉仕の姿について、皆様へご報告いたします。

ラオスミッションの全体像と活動目的

地域特有の課題:住血吸虫症の根絶に向けて

今回の訪問の主目的は、ラオス南部の特定の地域において深刻な健康被害をもたらしている「住血吸虫症」の根絶支援です。

この病気は、広大なメコン川などに生息するわずか1mmほどの寄生虫の幼虫が、川や田んぼで農作業や水遊びをする人々の皮膚から体内に侵入することで感染します。感染すると激しい貧血や栄養失調を引き起こし、最悪の場合は死に至る非常に危険な感染症です。

日本における過去の症例とは異なり、ラオスを流れる広大なメコン川では、感染の宿主となる巻貝を薬品等で全滅させることが困難を極めます。そのため、感染を防ぐためには「子どもたちへの適切な駆虫薬の投与」と、「感染の再生産サイクルを断ち切るための衛生教育」の二本柱が不可欠となっています。

現地で行われたWHO協力による授業の様子

<写真:現地では、WHOの協力の元、授業も行いました>

現在、現地におけるトイレの普及率は約2割という極めて低い水準にとどまっており、野外での排泄が感染拡大の大きな一因となっています。病気の治療薬を届けることと並行して、トイレの使用や手を洗う習慣を広める啓蒙活動を推進することが、根絶への重要な第一歩となります。

支援物資の寄贈と持続可能な運用の工夫

感染症対策の支援に加え、現地の子どもたちの学業や生活を支えるため、お菓子、ノート、ブルーのボールペン、鉛筆といった支援物資を大量に用意いたしました。

過去の支援活動における経験を踏まえ、物資の渡し方にも工夫を凝らしています。現地に段ボールや山積みにして送付・寄贈した場合、現地教員や大人たちによって持ち去られ、本当に必要な子どもたちに届かないリスクが存在します。こうした課題を回避するため、今回のミッションでは、メンバーの手から子どもたち一人ひとりへ直接手渡す「手渡し方式」を厳格に徹底いたしました。

派遣団の構成と出発前の準備

今回のラオス訪問団は、宮里パストガバナー、奈良中央ロータリーの佐藤会長、そして当クラブメンバー10名の計12名で構成されました。

出発前に開催された例会では、訪問団に参加しないメンバーに対しても、現地で配る支援物資の袋詰め作業への協力が呼びかけられました。クラブ全体でひとつとなり、全員の思いを詰めた物資を携えてラオスへと向かいました。

ノートやえんぴつ、お菓子などの支援物資

<写真:ノートやえんぴつ、お菓子などの物資>

旅程と現地での活動記録(一井会員の卓話より抜粋)

4,500kmの移動と現地の現状

訪問団は、関西国際空港を出発し、ベトナム・ホーチミンを経由してラオス南部の主要都市パクセーへと飛ぶ、総移動距離約4,500kmにおよぶ旅路を進みました。

活動の主要な舞台となったチャンパサック県は、日本の政府開発援助(ODA)によって建設された「ラオス日本大橋」が架かる、メコン川流域の要所です。観光業の成長に伴い、綺麗に整備された道路や高級リゾートホテルが目立つ一方で、資金難によって途中で建設が途絶え、放置されたビルが点在する歪な成長過程にあります。

生活・衛生インフラの課題は深刻です。地方部に足を踏み入れると衛生環境は非常に脆弱であり、訪問した小学校のトイレも決してお世辞にも綺麗とは言えない状態でした。

訪問した小学校のトイレの様子

<写真:実際の学校のトイレ>

支援現場での感動的な出会い

2月23日、今回の奉仕活動の核心となる支援が実施されました。訪問先は、ハードサイクワン小学校とバーンブーン小学校の2箇所です。両校の児童・園児あわせて約300名に対し、駆虫薬の投与と支援物資の提供を行いました。

子どもたちが駆虫薬を服用する様子

会場では、子どもたちが約1.5cmもある大きな錠剤(メベンダゾールなど)を懸命に噛み砕いて飲む姿が見られました。薬を飲み終えた子どもたちが、感謝の気持ちを込めて胸の前で手を合わせ(合掌し)、笑顔を見せてくれた光景は、参加した訪問団メンバーの心に深く刻まれました。

子どもたちへのインタビューが示す「真のニーズ」

さらに現地では、小学生6名に対する詳細なヒアリング(インタビュー)が実施されました。インタビューを通じて、子どもたちからは「将来は医者になりたい」「自分のお店を開きたい」「建築家になりたい」という頼もしい将来の夢や、「数学が好き」「英語が好き」といった高い学習意欲が語られました。

一方で、「今、学校で足りなくて困っているものは何か」という具体的な質問に対しては、以下のようなリアルな回答が得られました。

  • 修正液
  • ノートとペン
  • スポーツ用のユニフォーム
  • みんなで遊べるボール

これらの声は、私たちが日本で思い描く「貧困支援」のイメージと、現地の子どもたちが本当に欲しているものの間に少なからずギャップがあることを物語っています。今後支援を行うにあたっては、単に物資の「量」を届けるのではなく、現地のニーズを的確に把握した「質の高い支援」へとアップデートしていく必要性が強く訴えられました。

現地の子どもたちへのインタビューの様子

参加メンバーの視点と体験報告(参加会員の体験談)

・「非日常の現場とインフラの差」(森山会員)

テレビの報道などで見ていた「国際機関による支援現場」に自分が立っていることに、最初は強い非現実感を抱いたとのことです。ラオス第3の都市であっても空港のイミグレーション管理は驚くほど緩やかで、先進国との制度やインフラの違いに直面しました。現地滞在中は多忙を極め、「良いことをしている」という実感は帰国後に少しずつ湧いてきたと振り返ります。

単発で物資を配るだけでは、長期的・持続的な効果は薄いという現実に気づかされました。受け取る現地の学校や地域の体制整備、十分なコミュニケーションが不可欠であり、「与える側/受け取る側」という一方的な構図ではなく、対話と協働の姿勢が重要であると強調しました。自身の価値観や奉仕観が大きくアップデートされたと語ります。

・現地のリアリティと支援の「葛藤」(松永会員)

画面越しに見た「笑顔で物資を受け取る子どもたち」の姿に感動して参加を決意した松永会員ですが、実際に現地で子どもたちと触れ合うと、そうした「ふわふわした感動」は薄れ、かわりに目の前にある厳しい現実の重みを突きつけられたと言います。

現地での訪問団メンバーの活動の様子

一井会員が準備していたインタビュー計画に関して、現地のトウ氏から「この地域の子どもたちは、学校で『将来の夢』を問われる機会がほとんどないため、うまく答えられないかもしれない」という指摘がありました。身近な職業の情報が不足しているため、将来像を描くこと自体が難しいという現地の教育環境を知り、日本のように「幼い頃から夢を問われて育つ環境」との大きなギャップを実感したと言います。

しかし松永会員は、将来の夢に悩むことなく「いま、この瞬間を全力で生きている」子どもたちの力強い瞳に感銘を受けました。将来の選択肢を広げる支援と同時に、彼らが置かれている「いま」を少しでも快適で楽しいものにしていく継続支援こそが、自らの葛藤を乗り越える鍵になると結びました。

結びにかえて:これからの奉仕活動に向けて

今回のラオスミッションは、約300名の子どもたちへの投薬と物資提供という直接的な成果を上げただけでなく、参加したメンバー一人ひとりにとって「奉仕とは何か」「真の支援とはどうあるべきか」を深く問い直す貴重な機会となりました。

  • 医療・衛生面における予防処置と、衛生教育を通じた環境改善
  • 現地ニーズに合わせた支援物資の「質」の追求
  • 一方的な寄贈ではなく、現地のパートナーや行政と協働する継続的な仕組みづくり

当クラブでは、今回現地で得た貴重なデータやインタビュー結果、そしてメンバーの体験談を持ち寄り、次回の支援に向けた具体的な検証を行ってまいります。

現地の子どもたちの笑顔

現地で出会った子どもたちの溢れる笑顔と、彼らが持つ無限の可能性を守るために。私たちはこれからも一歩一歩、歩みを止めることなく、持続可能な国際奉仕活動を続けてまいります。今後とも皆様の温かいご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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